学習塾の利益率を上げるための方法

 

少子化に伴い、学習塾に通う子どもの母数が減ってきている昨今。
そんななかでも学習塾が生き残っていくには、生徒数を増やすことだけでなく利益率を上げることも意識することが大切です。

そこで本記事では、学習塾の利益率を上げるための3つの方法や、塾経営者に必要なスキルについて解説します。
なかなか利益率が上がらずお悩みの塾経営者様はご一読ください。

学習塾業界の営業利益率ランキング

まずは、参考までに大手塾の営業利益率を見てみましょう。
ここでは、株式上場している大手塾の2020年の利益率をトップ10までまとめています。

なお、ここでの利益率とは、売上高に対する営業利益の割合のことです。
また、営業利益とは、売上高から売上原価と販管費を引いたものの数値です。

順位 社名 営業利益率 売上高(億円) 営業利益(億円)
1 スプリックス 24.0% 114.1 27.4
2 ステップ 23.2% 115.9 26.9
3 東京個別指導学院 13.7% 204.0 27.9
4 学究社 12.2% 105.7 12.9
5 リソー教育 10.3% 245.0 25.3
6 9.7% 34.5 3.4
7 明光ネットワークジャパン 8.9% 199.7 17.8
8 ウィザス 7.0% 169.6 11.9
9 早稲田アカデミー 6.4% 238.1 15.3
10 ナガセ 5.8% 456.8 26.7

2020年の営業利益率で第一位のスプリックスは、森塾や湘南ゼミナール、自立学習REDなど複数の学習塾を全国に展開している企業です。
売上高114億円に対して27億円もの営業利益を出しており、その利益率は24.0%と圧倒的に高い数値です。
営業利益が高いほど、効率的に収益を得ているということになります。

そのため、表を見ると、売上高が高い企業でも営業利益があまり出ていないと、利益率は下がるということがわかります。

たとえば、リソー教育は売上高こそ245億円と第一位のスプリックスの倍以上の結果を出していますが、営業利益は約25億円と、スプリックスよりも2億円ほど少ないです。

したがって、スプリックスと比べると売上高に対してあまり効率的に収益につながっていないということになります。
中小規模の塾で、上記の表に載っている企業ほどの売上高を得ることは現実的ではありません。

しかし、売上高に対し効率的に営業利益を出すことさえできれば、利益率自体は大手企業のように高い数値を出すことも夢ではないでしょう。

学習塾の利益率を上げる3つの方法

学習塾の利益率を上げるには、売上高だけに着目するのではなく、営業利益を効率よく上げていくことが大切だということがわかりました。
そして、営業利益を上げるための具体的な方法とは、顧客単価を上げていくことです。

ここからは、学習塾の利益率を上げるために実践したい、顧客単価を上げる3つの方法を紹介します。

アップセリング

アップセリングとは、顧客が購入を検討している商品よりも値段が高いものを提案し、購入してもらうことで顧客単価を上げるという方法です。学習塾においては、生徒の学年や小学生・中学生・高校生ごとに月謝を変えるという方法が一例として挙げられます。

たとえば、生徒が小学生から中学生に進学したタイミングで、指導時間は同じでも月謝が2万円上がることで顧客単価が上がり、利益率も上がります。

ただし、ここで注意したいのは講師の人件費です。
小学生の担当講師よりも中学生の担当講師のほうが給与が高い場合は、月謝を上げても利益率自体はさほど変わらない可能性もあります。
その場合は、1時間あたりの人件費と得られる売上を比較して、本当に利益率が上がるのかどうかを確認する必要があります。

クロスセリング

クロスセリングとは、顧客が購入を検討している商品や既に購入している商品と併せて、別の商品も一緒に提案して購入してもらうという方法です。
学習塾に当てはめると、毎週の授業にプラスして、定期的な個別面談などのいわゆるオプション的なサービスを提供するという方法が考えられます。

具体的には、週に2回の授業で月謝3万円を設定していた生徒に対し、授業の回数・時間は変えずに週に一度の個別面談を追加することで月謝を5万円に上げるという方法です。
アップセリングで紹介した方法とは異なり、授業の内容や担当講師、ベースとなる月謝自体は変えないという方法です。

また、「小学校から中学校への進学」などのように年に一度のタイミングに限定せず、比較的時期を問わずに提案できるという強みがあります。

ただし、やはり意識したいのは担当講師の人件費です。
面談を実施するということは、面談の最中だけでなく事前準備、また面談後のフィードバックなどにも人的コストが発生します。
利益率を確実に上げていくには、売上高に直結する月謝だけでなく、人件費などのコストも考慮して総合的に判断していくことが大切です。

ダウンセリング

最後に紹介するダウンセリングとは、商品の単価を下げる代わりに、単価を下げる前よりも多くの商品を顧客に購入してもらうことでトータルの顧客単価を上げるという方法です。
学習塾に当てはめると、1か月のうちの授業の回数を増やすことで1回あたりの授業料を安くする方法が考えられます。

たとえば、週2回・月8回の授業では月謝は3万円ですが、同じコースでも週4回・月16回の場合は月謝が5万円になるという方法です。
前者であれば1回あたりの授業料は3,750円ですが、後者は1回あたり3,125円と、顧客である生徒の保護者にとってはお得な仕組みになっています。

そのうえで月謝は2万円高いので、顧客単価は上げられるという仕組みです。
ただし、人件費の面でみると利益率はどうしても下がってしまいます。
そのため、ダウンセリングを使う場合は、ダウンセリング単体ではなくアップセリングやクロスセリングとも組み合わせて長期的な戦略を練るとよいでしょう。

学習塾の利益率を上げるために経営者に必須なスキルとは?

学習塾の利益率を上げていくために、これからは小中規模の塾の経営者にもよりビジネス的な観点での経営者スキルが求められるようになります。

講師に求められるスキルと経営者に求められるスキルはそれぞれ全く異なります。

たとえば、講師においては説明のうまさや学習に関する豊富な知識、生徒・保護者に対するコミュニケーションスキルなどが求められていました。

一方で、経営者に必要なのは、マーケティングや資金繰りに関する知識や企画力など、これまでの講師業務で活かしていたものとは別の分野のスキルです。

ここからは、経営者視点で学習塾の利益率を上げるために意識したい2つのポイントを紹介します。

ポイント①はじめは集客に力を入れる

開業当初など、生徒が集まっていない時点では特に集客に力を入れましょう。
顧客単価を上げることも重要ですが、生徒一人あたりで上げられる顧客単価には限度があるため、まずは集客を行うことが大切です。

しっかりと集客をしてまずは学習塾としての基盤を固め、丁寧な授業を提供することで生徒や保護者の満足度を上げていきましょう。
集客の際は、先ほど紹介したダウンセリングがおすすめです。

子どもを入塾させようかどうか迷っている保護者に対して、月謝がネックなのであれば、お得感のあるプランを提案すると入塾してもらえる可能性が上がります。
ある程度の生徒を集客でき、月々の収益が安定するようになったら、アップセリングやクロスセリングを効果的に使って顧客単価を上げるとよいでしょう。

関連記事>>学習塾の集客のためのWEBマーケティング戦略

ポイント②雑務を効率化して時間を生み出す

個人で塾を経営している場合は特に、講師と経営を自分一人で兼任するため、やらなければならないことが多く時間的余裕がなかなか生まれません。

また、講師やスタッフを雇いたくとも人件費がネックとなっている方も多いのではないでしょうか。
そんなときにおすすめなのが、塾専用システムを導入して雑務を自動化するという方法です。

具体的には、月謝の引き落としや生徒ごとの月謝の管理、生徒の入退室時間の管理などを自動化してくれるシステムが各社から販売されています。
雑務を自動化することでこれまで雑務にかけていた時間を授業準備や経営のための計画に充てることができ、結果的に利益率の改善につながることが期待できます。

また、多くのシステムは有料ですが、管理用のスタッフを雇う人件費よりはコストを抑えられるという場合がほとんどです。
もし固定費に余裕があるのであれば、システムを使った効率化もぜひ検討してみましょう。

効果的な学習塾の集客方法

こちらの記事では、学習塾の経営者向けに、効果的な学習塾の集客方法について解説しております。

塾の経営を始めたものの、なかなか生徒が集まらない……。
そのような悩みを抱えている方も多いと思います。生徒を集めるにはどうすればいいのでしょうか?

塾の集客方法について悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

効果的な学習塾の集客方法

学習塾の利益率改善で大切なのは、顧客単価を上げること

いかがでしたか?

学習塾の利益率を上げるための具体的な方法や、経営者が意識したいポイントなどを紹介してきました。

大手学習塾運営会社の様子を見てもわかるように、効率的に利益を得ていくには売上高だけでなく利益率を意識する必要があります。
利益率を上げるための方法はいくつかありますが、そのうちのひとつが顧客単価を上げるという方法です。

本記事で紹介した内容を参考に、顧客単価を上げて利益率の改善を目指しましょう。

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